うちの猫のタマは、ちょっと変わっている。どうも自分のことを犬だと思っているらしい。最初に気づいたのは、去年の夏だった。
私が仕事から帰ると、玄関までタマが走ってきた。そして、しっぽを犬のように左右に振りながら、
「ニャー」
と鳴いた。普通の猫はこんなことをしない。妻は笑って言った。
「タマはきっと、隣の犬のコロを見て覚えちゃったのよ。」
確かに、隣のコロとタマは仲が良い。毎日フェンス越しに挨拶したり、一緒に昼寝したりしている。それで、だんだんコロのまねをするようになったらしい。
朝、新聞を取りに行こうと思ったら、タマが先に玄関に座っていた。口に何かくわえている。なんと、今日の新聞だった。
「えっ、新聞を取ってきてくれたの?」
と聞くと、タマは得意そうに
「ニャー」
と答えた。犬ならわかるが、猫がこんなことをするなんて。散歩にも行きたがる。
リードをつけると、普通の犬みたいに歩く。ただ、時々気が変わって、急に木に登ってしまう。そこはやっぱり猫だ。
一番おかしかったのは、先週の出来事だ。妻がボールを投げて、
「タマ、取ってきて」
と言った。すると、タマは本当にボールを追いかけて、くわえて戻ってきた。でも、ボールを渡す前に、ちらっと私の顔を見て、そのまま自分のベッドに持って行ってしまった。
妻は大笑いして言った。
「やっぱり、犬のふりをしている猫ね。」
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