11月8日(火) 雨
夜の十時を過ぎたころ、母から急に電話がかかってきた。妹の電車が遅れていて、駅まで迎えに行ってほしいという。私は眠いところだったけれど、断るわけにもいかない。「わかった、行ってくるよ」と答えて、上着を羽織った。
外に出ると、予想していたより雨が強くなっていた。傘をさして歩き出したが、風で何度も裏返りそうになる。最近こういう夜はめっきり寒くなった。秋が終わるのもあっという間だなと思いながら、駅までの道を急いだ。
駅前のコンビニで温かいお茶を二本買っておいた。妹はきっと冷え切っているはずだから。待合室のベンチに座って、スマホで電車の運行情報を確認しているうちに、だんだん瞼が重くなってくる。
十一時半すぎ、ようやく到着のアナウンスが流れた。改札から出てきた妹の顔は本当に疲れきっていた。「お姉ちゃん、来てくれたんだ」と言って、ほっとしたように笑った。最近、妹は塾で遅くなることが多くなった。中学生のころは毎日一緒に遊んでいたのに、いつの間にか別々の生活をするようになってしまった。
コンビニで買ったお茶を渡すと、妹は両手で包むようにして持った。「ありがとう、めっちゃあったかい」と小声で言う。その顔を見ていると、小さいころの妹を思い出して、なんだか胸がじんとした。
帰り道、二人で一本の傘に入って歩いた。肩がぶつかるほど近くて、少しだけ濡れたけれど、そんなに嫌じゃなかった。妹は今日あった嫌なことを早口で話したり、ときどき笑ったりしながら歩いている。私はただうなずいて聞いていた。
家に着いて玄関の電気をつけた瞬間、妹が「また迎えに来てくれる?」と聞いてきた。私は少し考えてから、「電車が遅れたときはね」と答えた。本当はいつでも迎えに行ってあげたい。でも、それを言うのは照れくさいから、心の中だけにしまっておいた。
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