うちの猫のタマが、獣医さんから特別なダイエットフードを出されることになった。最近少し太り気味らしいので、心を鬼にして従うことにした。
ある問題は、タマがそのフードを一口も食べないことだ。皿に入れると、まず匂いを嗅いだり、前足でつついたりして、最後には「これは食べ物ではない」という顔でこちらをじっと見る。
「今日こそ食べてくれるかな」と思ったら、案の定また残している。仕方なく普通のご飯を少し混ぜてみたら、タマはその普通のご飯だけを器用に拾って食べた。新しいフードは皿に綺麗に残されている。
「この子、意外と頭が良いね」と妻が笑った。確かに、好きな味だけを選んで食べる技術はかなりのものだ。
ある夜、私はこっそりおやつを与えてしまった。タマが可愛すぎるばかりに、つい甘やかしてしまう。妻に見つかって、「貴方が甘やかすから痩せないのよ」と叱られた。
次の日、タマは私の側を離れなくなった。ご飯の時間になると、私の足元で小さく鳴いたり、手をぺろぺろ舐めたりする。妻いわく、「タマは貴方をおやつ係だと思っているらしいよ」。
一週間後、体重を量ったら、何とタマは少し太っていた。ダイエット中なのに、体重が増える事になるなんて。
獣医さんに相談すると、「ご家族の誰かが、こっそり与えていませんか」と笑顔で聞かれた。私は黙って下を向いた。
結局、ダイエットに失敗したのは、タマではなく私の意志だったのかもしれない。
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