夕暮れ前の畑で、定年後に小さな共同菜園を始めた佐々木先生(68歳)にお話を伺った。元小学校の先生で、退職をきっかけに近所の空き地を借り、子どもや高齢者が一緒に野菜を育てる場所を作ったそうだ。
——どうして菜園を始めたんですか。
「教室を離れてから、最初は何もすることがなくて、毎日テレビばかり見ていたんですよ。だんだん体も心も重くなって、これは良くないなあって思って。それで、土を触るのが昔から好きだったので、思い切って空き地の持ち主に相談しました。」
——大変だったことはありますか。
「最初の半年は本当に大変でした。土が固くて、何度耕しても野菜が育たなくて。だけど、近所のおじいさんが『若い頃は俺もここで畑をやっていたんだ』って教えてくれて、堆肥の作り方を一から習いました。年齢に関係なく、誰かに教わるのって嬉しいものですね。」
——どんな人が集まってくるんですか。
「平日の午後は子どもが多いです。学校が終わってから、ランドセルを背負ったまま走ってきますよ。週末はお父さんお母さんも一緒に来てくれて、にぎやかです。先週なんて、近所の中学生が『先生、トマト売っていいですか』って言い出して、みんなで小さな市場を開いたんです。」
——これからの目標はありますか。
「大きな夢じゃないんですけど、この菜園を十年続けたいなあって思っています。野菜を育てることを通じて、世代の違う人が話せる場所になればいいなって。子どもたちが大人になっても、ここを思い出してくれたら、それで十分じゃないかな。」
取材を終えて畑を出る時、夕日に照らされた佐々木先生の笑顔が、土と同じくらい温かかった。
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