七月に入って、空が急に青くなってきた。にわの木の葉も、前より緑がこくなったらしい。
朝ごはんを食べていると、外から小さな鳴き声が聞こえてきた。ことしはじめての蝉の声である。去年より少しはやいと思う。
「夏が来たね」と母が言った。たしかに、風も少しおもくなってきたようだ。
昼すぎには、空が急にくらくなってきた。雨がふりそうだと思ったら、すぐに大きな音を立ててふり出した。家の前の道が、五分でぬれてしまった。
こういう夏の雨を、日本では「夕立」と言うらしい。みじかい時間でたくさんふって、すぐにやむ。父は「夕立のあとの空気はきれいだ」とよく言っていた。子どものころはよくわからなかったが、今はその気もちが少しわかる気がする。
雨がやむと、また蝉が鳴き始めた。木の下の地面はぬれて、光っていた。空気の中に、草と土のにおいが広がっていく。
夕方、まどをあけて外を見ると、となりの家のかべに、蝉が一ぴきとまっていた。動かないで、じっと夕日をあびている。来年もまた、この声を聞きたいと思った。
夏は、音もにおいも、急にかわる季節らしい。明日も、きっと暑くなるだろう。
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