瀬戸内海の小さな島へ行くために、朝早く港に着いた。空はまだ少し暗くて、海の匂いが風に乗ってきた。フェリーの時間まで三十分ほどあったので、待合室のベンチに座って、温かい缶コーヒーを飲んだ。
乗客は十人もいなかった。私のほかは、地元の人らしい年配の方がほとんどで、みんな静かに新聞を読んだり、外を眺めたりしていた。船が動き出すと、港の町がだんだん小さくなっていった。波の音を聞きながら、私はデッキに出て写真を撮った。
島に近づくにつれて、緑の山と白い灯台が見えてきた。思っていたより小さな港だったが、その分、空気がとても澄んでいた。船を降りると、猫が一匹こちらを見ていた。こんな静かな場所で一日を過ごせるのは、贅沢なことだと思う。
港のそばの小さな食堂で、魚の定食を食べた。おばあさんがにこにこしながら、「今朝取れたばかりだよ」と教えてくれた。味は本当にやさしくて、都会で食べるものとは比べられないほど美味しかった。食べ終わってから、海沿いの道をゆっくり歩いた。
午後は灯台のある丘まで登ってみた。道は細くて、石段も多かったけれど、登りきったときの景色は忘れられない。青い海がどこまでも続いていて、遠くに別の島々が浮かんでいた。風がやわらかくて、汗がすぐに乾いた。
帰りのフェリーの時間が近づくと、少しさびしい気持ちになった。旅とは、こういう小さな発見の連続なのかもしれない。次に来るときは、もう一泊してみようと思った。港を出る船の上で、私は島の方をずっと見ていた。
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